日本大学大学院芸術学研究科 新入生・在校生の皆様へ

この度の新型コロナウィルス感染症によるガイダンスや授業開始の延期に不安な中で生活されていることと思います。
現在、学部、研究科ともに教職員一丸となって、今年度皆さんが安心して学業に励むことができるよう準備をしております。
今後の情勢によっては旧来通りの授業展開ができないことも考えられますが、そのような中でも従来と変わらない成果が得られるようなプランを、各専攻、芸術専攻ともに何段階にもわたって検討しておりますので安心してください。
現段階では、皆さんには、これまでに学習してきたことを十分に復習していただくとともに、今後の課題、論文執筆に対して、今、自分ができることをしっかりと確認していただきたいと思います。
現在は、学部、大学院ホームページに記載されている予定で、ガイダンス、授業ともに開始する予定にしていますが、政府、東京とともに、日々、状況の変化が考えられますので、学部、大学院ホームページを随時確認してください。
それでは、ガイダンスの日に元気な姿で皆さんに会えることを楽しみにしています。
また、留学生の皆さんの中で、帰国し、日本に戻ってこれない方もいらっしゃることでしょうが、そのような皆さんに対してもできる限りの対応を考えておりますので安心してください。
今は、今後の皆さんの状況が良くなるためにも、一人一人が強い自覚の元、不要不急の外出は控え、きたる授業開始に向けて、十分な準備を続けてください。

令和2年4月2日
芸術学研究科長 木村政司
大学院担当 松島哲也

日本大学大学院芸術学研究科 文芸学専攻の皆さんへ

新学期を迎え、今回の未曾有の現象に遭遇し、いったいどのように考え、どう行動したらいいのでしょう?
〈読書三余〉という言葉があります。書物を読むことに都合のよい三つの余暇を意味し、年の余(冬)、日の余(夜)、時の余(降雨時)を指します。昔々、中国の魏の董遇(とうぐう)が学問をする暇がないと嘆く弟子を諭した言葉です。外出自粛が国を挙げて要請される今、正に〈読書四余〉の状況ではないでしょうか。
では、何を読もうかというとそれぞれの専門分野、関連分野の本を読むのが一番いいと思います。今はネットでいろいろ読めますが、それにしても思う本に中々巡り合えないかもしれません。そういうときは思い切って、まったく異なる分野に挑戦するのもいいでしょう。学問研究には、〈広く浅く〉と〈狭く深く〉という二種類の作業が必要になります。これはよくアコーディオンの演奏に喩えられます。広げてばかりでも狭めてばかりでもいい音色は出ません、両方が必要です。
中世ヨーロッパで黒死病が流行したときには、〈死を思え〉(memento mori)という言葉が流布し、どういうふうに振る舞ったら無事に天に召されるかを説いた〈往生術〉の著作も盛んでした。骸骨が踊る〈死の舞踏〉は文学や絵画にも大きな影響を与えました。有名なボッカッチョの『十日物語』は、悪疫の流行に際し、それを逃れて郊外に住んだ10人が、10日間、1日1話ずつ語り合う形式であることはよく知られています。
十七世紀イタリアのペスト災禍を描いたマンゾーニの『婚約者(いいなづけ)』に因んだ校長の言葉が話題になっており、彼は生徒に次のようなメッセージを送ります。

頭を冷やしなさい。集団妄想に取りつかれてはなりません。適切な予防で十分です。普段通りの生活を送りなさい。この機会に散歩して、良書を読みなさい。スーパーや薬局に殺到する理由もありません。

今回の空前絶後の現象を歴史的証人としてしっかりと見つめ、information literacyを鍛えましょう。
著名なコメディアンが病に倒れ亡くなりました。彼の言葉に「準備に全力投球」があります。大学は全力を挙げて、遺漏なきよう準備に取り組んでいます。皆さんも全力投球で準備していて下さい。そして本学大学院芸術学研究科の学生として社会的に責任ある行動を取って下さい。では、来るべき日に江古田キャンパスでお会いしましょう。

令和2年4月2日
文芸学専攻主任 植月惠一郎

日本大学大学院芸術学研究科 映像芸術専攻の皆さんへ

「日本大学大学院芸術学研究科 新入生・在校生の皆様へ」にある通り、学部としては万全の準備をしております。
また映像芸術専攻としても、今後コロナウィルス感染症によって授業開始が伸びた場合に備え以下のような体制を整えます。

  • ・指導教員との連絡を、webメールによって密にし対面指導ができない場合でも、学生の研究体制に支障が起きないように、資料や参考文献の提示をします。
  • ・指導教員との対面授業ができない間は、webメール等インターネットを活用し研究計画やレポート・創作の企画書等の指導体制を整えます。
  • ・選択科目の授業においては、その受講が決まり次第(学部の方針に則り、受講科目が決定した後)、上記の2点を選択科目でもすみやかに実行します。

コロナウィルス感染症が早く収束することを願うばかりですが、学生の研究の妨げにならないような体制を考えていますので、映像芸術専攻の新入生、在学生とも、研究に邁進するように望みます。

令和2年4月2日
映像芸術専攻主任 鳥山正晴

日本大学大学院芸術学研究科 芸術専攻の皆さんへ

新学期を迎えようとしている今、新型コロナウィルス感染症による未曾有の現象に遭遇し、いったいどのように考え、どう行動したらいいのかと戸惑っていると推察します。
しかし、博士後期課程で博士論文完成を目指して準備、推敲、仕上げの時期を過ごす皆さんに、大学院芸術学研究科の教職員は一丸となってサポート、指導体制構築に向けて努力をしていますので、まずは安心して心強く研究に向かう姿勢を継続して下さい。
日々、変化する東京、日本の状況ですがこの闘いは長期戦になるかも知れません。
現在、日常回復の時期が遅れた場合のための遠隔による指導体制構築の具体的な検討も進行しています。たとえ、授業開始時期が遅れても、皆さんの研究の遅れが軽微で済むように準備します。
限られた空間でインターネットを中心にした検索しか出来ず、苛立つ事もあるかと思いますが、この災禍を受け止め、今一度自己の研究を振り返り、問題設定から解決までの構成を反芻しながら、日常の研究を深化させて下さい。
状況が収まり、日常が戻り、研究が完成することを目指して諦めずに頑張りましよう。

令和2年4月2日
芸術専攻主任 木村政司